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この夏イチ推しの小説「永遠の0」

生命のリスクにさらされた時、人は何を想いどう行動するのか。

最近、プライベートでそんなことをつくづく考える機会があったのですが、そんな思索を深めてくれる書籍に同じようなタイミングで出会いました。

百田尚樹さんの「永遠の0(ゼロ)」です。

 

百田尚樹さんと言えば、本屋大賞となった「海賊とよばれた男」が気になっていたのですが、本屋で積まれている本を眺めていたら「永遠の0」が推されていて、そのタイトルに魅かれて手に取ってみました。期待に違わぬ読み応えで、この夏もっともオススメできる書籍です。

 

「0」は零戦の「ゼロ」。

母方の祖父が実の祖父ではないという事を聞かされたニート状態の健太郎、姉と共にその実の祖父である「宮部久蔵」の過去を探りはじめます。零戦のパイロットとしてならした戦中の宮部の姿を知るという老人たちを捜し当て、一人一人インタビューを重ねていくのです。

そこで明かされていく、知られざる祖父の姿。「臆病者」「凄腕の戦闘機パイロット」「愛妻家」と、色々な姿が次々に浮かび上がってきます。

宮部久蔵は、徹底して「生きて還って家族と暮らす」ことが最大のミッションでした。一体何機撃墜してきたか質問された時の彼の答えは、「敵を何機墜としても、一度でも墜とされたら、それでおしまいです」。

そんな宮部久蔵が何故、特攻機で最期を遂げることになったのか。最後に謎が解き明かされるわけですが、それは読んでのお楽しみということで。

 

「永遠の0」でもう一つ面白かったのが、日米両軍のリスクに対する考え方の違いです。零戦は、敵機をはるかに凌ぐ飛行距離と、回転半径の小ささという戦闘能力を兼ね備えていた「傑作」でした。しかし、特に操縦席周りの防御の備えは非常にもろく、パイロットは一度被弾したらまずアウト。

それに引き替え、米軍の戦闘機は弾が当たっても簡単には操縦席に貫通しないよう、分厚い鉄板で座席の後部が護られている。そして、米国の「エース」と呼ばれた戦闘機乗り達は、例外なく零戦に何度か撃ち落とされているという事実。

 

失敗しても再チャレンジできるように全体をデザインしていくのか、失敗したらアウトを前提で勝負をかけさせるのか(というか、そういう状態になってしまっているということに無頓着なのか)。戦時中も現代も、根本に流れる思想は日米で意外に変わっていないのかもしれませんね。