ベンチャーこそ“会議”が必要だ~“良い会議”の4つの効用と7つのルール~<②>
前回エントリーは、メンバーが顔を合わせての会議はベンチャーだからこそやった方が良い、というお話でした。今回は、「やり方」の話です。いわゆる「会議のハウツー本」は色んなところで見かけますが、大体その手の話は大きな組織での会議が想定されています。ここでは、小さなベンチャーを想定して話を進めます。
<良い会議をするための7つのルール>
・ルール1:プロダクト・オーナーが“議題設定”する
会議を生産的にするには、何はともあれその会議で何を決めるかの議題(イシュー)が事前に参加者の間で共有されている必要があります。会議が始まってからメンバーから「で、今日は何を決めるんだっけ」みたいなマヌケな発言を出すような暇はベンチャーにはありません。そして、議題を設定するのは、事業全体の舵取り役たるプロダクト・オーナーの仕事です。
・ルール2:全員で時間配分を意識する
よく「ファシリテーター」を置くと会議がスムーズになるというようなことが言われますが、ベンチャーではそこまで人的な余裕はありません。ファシリテーター役は置いても良いですが、結局その人にも積極的に議論に参加してもらわないといけない場面が結構出てきます。従って、ファシリテーションの意識は会議参加者全員が持つべきで、「今日、XXXも話さなければいけないとしたら、この話いつまでもできませんよね」といったコメントがメンバーの誰からでも出てくるようにしたいものです。
・ルール3:ホワイトボードをつかう
ウェブデザインの初期段階では、必要なアウトプットのイメージを書き出して仕様書代わりに使う、ということをよくやります。こればっかりは、ホワイトボードに勝る手段はなかなかありません。誰かがアイディアを「ポンチ絵」にして、みんなでワイワイガヤガヤやりながら、そこに付け加えたり消して書きかえたり強調したり、ってのにはやっぱりホワイトボードなんですよね。
・ルール4:遠慮しない
ベンチャーの会議は、少人数の真剣勝負ですから遠慮は無用だし害悪です。特に、「ここは相手の得意領域なので」と疑問に思ったことを口にしないというのは最悪です。前回のエントリーにも書きましたが、「素人の質問」が相手の頭を活性化するので。
・ルール5:結論はすべて行動計画に落とす
「次の会議までに、各々が何をしなければならないのかを明確に把握する」、というのが会議の最大の目的なので、どんな議題の結論も最終的には行動計画に落とし込まれていなければいけません。
ある議題で議論してその時決められないという場合は、そのまま放っておくのではなく、いつぐらいのタイミングでこの議題を再度議論するか決めておくことが、行動計画になります。
・ルール6:必要最低限の議事録(=決定事項)を残す
何をどう決めたかは、結構忘れてしまいがちなものです。従って、次の会議の議題を考える上でも、やっぱり議事録は残すべきです。ただ、大きな組織みたいに大層な議事録を残す必要はありません。決定事項が書かれてさえいれば、ホワイトボードの写真だけでOKです。
・ルール7:たまに第三者を入れる
時々環境を変えると、人のアタマは活性化されるものです。よくあるのが、会議の場所を変えるというやり方です。それとはまた別の活性化の方法もあって、それは「よそ者(第三者)」を会議に入れるというものです。
小さなベンチャーの会議はせいぜい4-5人程度でしょうから、1人「よそ者」が入ることで、袋小路に入っていた議論に全然違う視点が加えられて、突破口が開けること、結構あります。
僕がもう一つの顔を持っている医薬品の世界では、「相加作用」と「相乗作用」という概念があります。2つの成分の薬を同時に投与すると、足し算(相加作用)ではなく掛け算的(相乗作用)な効果が生まれる事があるというものです。
人材資源の限られているベンチャーだからこそ、実のある会議で相乗作用を起こしていかなければ、です。
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