「MessageLeaf (メッセージリーフ)」の立上げ日誌~ウェブサイトにあなたと私の関係を~

「MessageLeaf (メッセージリーフ)」の開発から事業立ち上げに至る日々を綴ります。 Twitterアカウント:@acesuzuki

就活生の皆さん、“ガチンコの時代”へようこそ

ここ10年ほど、年末になると「就活」の時期を迎えた大学サークルの後輩たちに、先輩社会人としてスピーチする機会があります。

僕自身、財閥系大手メーカー、プロフェッショナルファーム、外資系製薬会社、起業、と色んな組織形態で仕事をしてきたので、それなりに参考にしてもらえる話は何とでもできるのですが、折角の一期一会の機会なので、何を話すのかは結構考えます。

今年もどんな話をしようかなと考え始めたところなのですが、せっかくなのでこのブログで今考えていることをまとめてみようと思います。

 

<優良企業に行くのは、たぶん悪い選択だ>

自分の就職活動時(1992年当時)の話を思い出してみます。その時父がよく言っていたことは、「お父さんが就職活動していたころは、鉄鋼・繊維が花形だった」、です。父が就職活動をしていたころというのは高度成長期真っ只中の1960年代前半。まさにそんな感じだったのでしょうね。ちなみに、父は大手生命保険会社勤務だったのですが、当時は大して人気が無かったのだとか。

ところが僕が就活していた時代は、鉄鋼・繊維はもはや「斜陽産業」で人気は全くなく、代わりに金融が花形でした。父も期せずして花形産業のミドルクラス社員になっていたわけです。同じ金融でも、例えば銀行の中であれば、興銀、長銀、大手都市銀行の順に「格」があるという認識があったりして、金融にまったく興味のなかった僕にとってはどうでも良かった話ですが、周りは結構気にしていたみたいです。

そして、自分が学生の親御さんたちとそう違わない年齢になってきた今になってみると、金融も「斜陽産業化」の道をはっきりと歩み始めているように見えます。時代が変われば、「エクセレント・カンパニー」の顔ぶれもどんどん変わっていくもの。唯一変わらないものがあるとすれば、「今条件が恵まれているように見える優良企業に行くのは、たぶん悪い選択だ」という原則だと思います。

 

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<「就活」の長期化はむしろチャンス>

就活にかかる時間が以前より長期化している、という話を、↓記事で読みました。

 

「早期化・長期化・煩雑化する『平成の就職活動』の惨状」(日経ビジネス

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20121119/239587/?P=1

 

僕は、早期化・長期化・煩雑化、むしろ結構なことだと思います。自分の就職活動当時、「どうしてこれからの人生10年単位で影響する選択肢を考える期間が、こんなにも短いのだろうか。たかだか4年間の大学の受験勉強には1年・2年かけて必死に準備するのに、変な話だ」と感じていました。当時はそれくらい安易に就職先を決めていた人が大半でした。

今は環境が厳しい分、自分自身を見つめ直す時間もあるし、そういった経験は必ず後々活きてきます。また、インターンシップのような制度が広がってきたことも、学生にとっては非常に好ましい動きでしょう。

 

ただ、学生側も学生なりに戦略を練る必要があります。「誰もが知っている会社」を上から順番にトライして挫折を重ねていくのは、最悪のシナリオです。必要以上に競争率が高いところで勝負して負けを重ね続け、精神的・肉体的エネルギーを不必要に消耗するのはもったいない。それに、前述したように今「誰もが知っている会社」に行くというのは、そもそもあまり賢くない選択になる可能性が高いです。

それより、皆があんまり知らないような会社でも、キラリと光るところのある会社、自分にフィットしていそうな会社を探すことにエネルギーを早く使いましょう。中小企業だって、良い会社はまだまだあります。大体、楽天だってファストリテイリング(ユニクロ)だって、ちょっと前までは中小企業だったわけですから。

また、もしかしたら日本で就職すること自体、すでに良い選択ではない可能性も十分あります。そうだとしたら、今からでも準備して海外の大学にTransfer(転校)して、海外で就職先を探す方向転換をするなんてことだって考えても良いでしょう。

 

ガチンコの時代で活きる強さ

自分の周囲の考え方や過去の常識に流されず、自分のアタマで自分なりの戦略を考えてそれをしっかり実行に移していく、というのは社会人として最も必要とされる力です。

ただ、自分オリジナルの戦略仮説を見つけるためにも、筋の良い大人と会って話をすることは大事です。OB/OG訪問、是非積極的にやると良いでしょう。そしてできれば、どんどん飛び込んで身近とは言えない社会人とも会って話してください。

昔と違って今は、Web上である分野で面白いなと思える人を見つけて、その人と会って話をする段取りをつけるなんてことだって、その気になればいくらでもできます。本当に仕事ができる人は若い人たちに対して寛容で協力的ですから、礼儀さえわきまえていればきっと会ってくれるでしょう。

そうした姿勢が、これからの「ガチンコの時代」で活きてきます。人の輝きは、学歴や所属している会社の名前では決まりません。その人がどれだけ自分で考え抜いて、どんな姿勢でどんなチャレンジを重ねてきたか、で変わってくるのです。皆さんにとっての「就活」がその良き第一歩となるよう、強く願っています。