「MessageLeaf (メッセージリーフ)」の立上げ日誌~ウェブサイトにあなたと私の関係を~

「MessageLeaf (メッセージリーフ)」の開発から事業立ち上げに至る日々を綴ります。 Twitterアカウント:@acesuzuki

閉じこもる日本人、飛び込む日本人

日本を飛び出て、ジャカルタでGlobal企業の営業職として働いているかんちゃん(@kanchan_r)さんという方が発信している、「Keep Rockin’! BRO!」というブログがあります。前回エントリー(http://messageleaf.hatenablog.com/entry/2013/01/15/232038)で紹介したGunosyの推薦記事で、「ジャカルタのショッピングモールに日本人が見当たらない理由」という興味深いエントリーに行き当たり、出会いました。

http://ryokanno.com/?p=2300

 

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<イケてる駐在員とイケてない駐在員の違い>

この記事を見ての第一印象は、「あぁ、90年代の風景と変わっていないなぁ」です。

僕が1990年代に日本のメーカーの海外部で東南アジアビジネスにどっぷりと浸かっていた頃、数多くの日本人駐在員を見聞きしてきました。

この地域での「イケてない駐在員」というのは、記事にもあるように、「休日は(日本人同士で)ゴルフ」、「夕食は(半分以上は)日本料理店」、「夜は馴染みの(片言の日本語が喋れる)女性がいる店でカラオケ」というのが定番でした。いわゆる典型的な「日本のオッサン」の行動パターンですね。

「イケてる駐在員」がゴルフをしないわけではありません。まあ日本料理店やカラオケもたまには行くでしょう。現地の人との経済格差だってもちろんありますし、足を踏み入れて良い場所と日本人がうろうろしたらアブない場所があるのも事実です。それでも、イケてる駐在員は、自分の脚で歩き回り、現地語を習得し、現地の人との距離感を自分の肌で感じ取りながら仲良くなって、「現地化」していくのです。そうした姿勢で仕事をしている人は、現地従業員から尊敬もされるし、現地のビジネスパートナーからの信用も勝ち取っていきます。そして、現地にどっぷりいるからこそ知り得る、値段も味もイケてるローカルフードのお店をたくさん知っていたりします(^^)

 

<人生の保守と革新>

海外に出た日本人が群れがちで自分たちの殻に閉じこもりがち、というのは、留学生でもそうだし、ずいぶんと以前からずっと言われ続けていることです。

では、何で殻に閉じこもってしまうのでしょうか。

僕は言葉の問題はゼロじゃないけど、副次的なものだと考えています。だって、日本語でも会議となると「丁々発止の議論の場」というより「予定調和の儀式の場」にしたがるオッサン多いですもの。それよりも、異物(異なる環境、意見、人)にぶち当たることに対する怖れであったり、そうなった時に自分が今まで築いてきたものがゼロになることの怖れであったりというところが、真因でしょう。変なプライドを捨てられないんですね。

逆に殻を破って飛び出られる人は、それまでの居心地の良さを捨てて(茂木健一郎さん風に言えば)偶有性の海に飛び込む勇気を持っているのです。先述のブログでかんちゃんさんが「環境と意志があれば自分を変えられる」と書かれていますが、この「意志」がまさに「偶有性の海に飛び込む勇気」です。

 

政治の世界の「保守」と「革新」は、どっちが保守でどっちが革新なんだか最近さっぱりわからないのですが、個人の「保守」と「革新」は、この偶有性を忌み嫌うか歓迎するかの生き方の違いで鮮明に峻別される。そして、これからの時代は間違いなく「革新」が求められます。

90年代当時と違うのは、かんちゃんさんのような若者がいる、ということかもしれません。

「イケてる駐在員」といえど、日本企業の看板も現地での役職も背負っていますし、そういう人は何年かすると日本に帰っていくと現地の人は知っていますから、「現地化」のレベルは限られています。

でも、かんちゃんさんのように好むと好まざるとに拘わらず身一つで現地に飛び込んで行って、そこで何とかしようというのはそもそもの覚悟が違います。それほどの覚悟でこちらの世界に飛び込んできた外国人が目の前にいた時、きっと現地の人との間で起きる化学反応も、まったく違う次元のものになることでしょう。

偶有性の海に飛び込んで海外で活躍する若い人たちがこれからも次々に出てきて、「和僑」という言葉が一般的になる日がくるのが楽しみですし、自分自身もどんなに年齢を重ねても「革新」の気持ちを保って外の世界に飛び込み続けていきたいと思っています。