「MessageLeaf (メッセージリーフ)」の立上げ日誌~ウェブサイトにあなたと私の関係を~

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ラッキョウを食べて考えた、食と職の食わず嫌い

週末、空港でカレーを食べていたら、ふと付け合せのラッキョウを食べている自分に気づきました。ラッキョウというのは、僕が小さい頃シイタケ、セロリと共に苦手にしていた3大食材の一つ。子供に対して「好き嫌いしたらだめだよ~」などと諭す立場になってみて、改めて味覚というのは、本当に変わるものだなと思います。

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<食と職の食わず嫌い>

小さい頃苦手だった食べ物が、大人になって美味しく感じられるようになることを、英語で「Acquired taste」と言います。日本語だと「大人の味」といったところでしょうか。

苦手な食材であっても、僕の母親は小さく刻んだり、それを食べないとデザートは食べられないなどと脅したりしつつ、何とか食べさせようとしていました。

3大苦手食材は食べると時々本当に戻してしまうくらい苦手だったので、小さい頃は母親を正直恨みに思っていました(笑)。が、大きくなってその味に親しむようになってみると、小さい頃に無理にでも何でも食べるクセをつけておいて本当に良かったと思います。特に、海外に出た時、どんなものでも試しに食べてみようというマインドを持っていたことが、ローカルのパートナーと信頼関係を構築するのに大いに役立ちました。実際、未知の美味しいものはまだまだあると思いますし。逆に言うと、「食わず嫌い」というのは本当に人生の楽しみをそれだけ失っているんだろうなと思います。

で、職にもひょっとしたら「食わず嫌い」があるんじゃないかなぁというのが、最近ちょっと思うことです。ジェネラリストばかり育てる日本の大会社のアンチテーゼとして、よく「専門性を磨け」という話があります。「好きな道を行けば良い」と。これが、若い頃から自分が気に入ったことだけやって、嫌だと思ったことはやらない、ということを意味しているのだとすると、耳触りは良いけど実は残酷なアドバイスだなと思います。

 

<スペシャリストも何らかの組合せで生まれる>

最初から一つのことでトコトン道を究めようとするのは、極めて大変だしリスクも高い。全員がそういう戦い方をする必要はありません。むしろそういう戦い方よりも、「組合せ」で勝負する戦い方の価値に光を当てるべきと思うのです。

以下、私の友人で、婚活コンサルタントをやっていた(いまでも半分現役?)Nさんという人が著書で書いていたことです。なかなか結婚しない人に話を聴くと、「私は相手は普通の人でいいと思っている」とかなりの確率で答えます。要は、容姿も性格も収入も身長も学歴も「水準以上」であれば良いと思っていると。ただ、その条件が多ければ多いほど、確率論的に「そんなお相手はなかなかいませんよ」ということになる。まず、ここを理解させることが第一歩なのだそうです。

逆の言い方をすれば、仕事でも「水準以上にしっかりできる」という強みが3つ4つ重なっていくと、かなりの強みになっていくという事です。1つの強みだけで突出したスペシャリストとして勝負しようとするより、そうした組合せで勝負する方が、むしろチャンスがあると思いませんか。

今の自分のメディカル・インサイトの方の仕事でもそれは感じ取れます。製薬業界の経験がある人は十万人単位でいるでしょう。マーケティングがそれなりにできる人材は日本でも万人単位でいるでしょう。経営コンサルティングだと千人単位くらいでしょうか。でも、この3つの掛け算で、マーケティング×製薬×経営コンサルティングという専門性だと多分日本で数十人というレベル。これに「オンコロジー(がん領域)」という掛け算が加わると、日本で自分と同じような経験値を持つ人はそうそういないだろうな、というくらいになります。(もちろん、組合せが増えるほど市場がどんどんニッチにはなっていくので、経験値を活かせる仕事がそこに十分あるということは大前提にはなりますが。)そして、この組み合わせは「自ら掴み取りにいった」というよりも「偶然の出会いを大事にした」という側面の方が色濃いです。

日本の大組織にありがちな「ジェネラリスト」になれと言っているのではありません。日本の大組織の「ジェネラリスト」は、えてして自分の組織の中の振る舞いに精通するという「自分の組織スペシャリスト」になってしまいがちです。この強みは自分の組織では通用しても他の組織ではむしろマイナス要因として働きかねません。社外でも通用するようなケイパビリティを身に付けられているかどうか、というのがあくまでも判断基準です。

 

 

ラッキョウもシイタケもセロリも、食べられなくても普通に生きていけます。でも、「食わず嫌い」ですませず、「まずは食べてみる」という柔軟性を「職」についても発揮すると、「オンリーワン」の職業人生の可能性が開けますよ。